乙女ゲーム夢4

□後から悔み希う
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不器用な優しさに、ふとした瞬間に見せる笑顔に、私は恋に落ちたんだ。






桜の木の下で始まったどんちゃん騒ぎに苦笑いしながらお茶を飲んでいたら、総司と散々騒いだ後の土方さんがどっかと私の隣に座りこんだ。




「ったく、総司のやろう…」



「お疲れ様です、土方さん」



苦虫をかみつぶした様な土方さんの表情にお茶を淹れて差し出すと「おう…ありがとな」と言ってくれて、そんな些細なやりとりが妙にこそばゆい。




決死の覚悟で好きだと告げたあの日。


驚いて、それからひどく優しく目元を和ませた土方さんの顔を私はずっとずっと忘れることはないのだろうと思う。

ただの小姓だったのに、それから私は土方さんの恋人になれて。


そして日々私に向けて柔らかい表情を向けてくれる土方さんに愛しさが増す。



「にしても見事だなぁ……咲き乱れ、ってやつか?」





ふっと頭上の桜を見上げる土方さんはどこかの役者みたいだ。








―――――やっぱり、綺麗だ。







「綺麗ですね。それに桜って枝に小さな花がまあるく咲くじゃないですか? なんだか小毬みたいでかわい・・・・・・」




かわいい、と言いかけた私を見やって、土方さんがすっと私の頭に手をのばす。
思わず緊張でどきりとした私から、土方さんは薄紅色の花弁をつまみあげた。





「・・・・・・桜がかわいいってか?」




「う、ん・・・・・・かわいい、なって」



無駄に早鐘をつく胸を持て余していたら土方さんはくっと肩を震わせて笑い、湯呑の中にさっきの花弁を落とした。




「んなこと言うお前がかわいいよ」




さらりとそんな言葉を吐き再び桜に視線を戻した土方さんに頬がじんわりと熱を持つ。





恋人に対してこの人がこんなに甘いということを誰が予想できただろう。



でも、この時の私はただ安穏と土方さんの隣にいればいいのだと思ってしまっていた。



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