乙女ゲーム夢4

□誰そ焦れ(たそがれ)
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何故か気づけば「華ヤカ」の世界の路地に怪我をした状態で転がっていた。


まぁ、「華ヤカ」の世界だって気づいたのはあの人に会ったからなんだけど。













雨の降り注ぐ中、腕から流れ出る血の多さに「ああここで死ぬのかもしれない」なんて思って絶望的な気分を味わった。




ぱしゃ。




人も寝静まった真夜中。



路地裏に響いた微かな水の音に、猫か犬かと思いながらのろのろと視線を上げたら闇色の青年と目が合った。


顔を上げることすら億劫だったのに、何故か彼を見上げ・・・・・・。






「あれ・・・・・・」




見覚えのあるその姿に、思わず顔が綻んだ。




「守さん、だ・・・・・・」




ぴく、と眉を動かしたその青年に動かしづらい手をのばす。




「・・・・・・もしかして、もう死んだ・・・・・・? すごい・・・・・・会えると、思ってなかっ・・・・・・」




うわ、おかしいな・・・・・・なんか目の前が真っ暗で・・・・・・耳が、遠く・・・・・・。


















目の前で地に伏したその女の横にかがみこむ。



「死んだのか?」



首筋に手を当てるとまだ微かに脈があった。


しかし氷のように冷たく、熱い。

腕からも大分血が流れている。



「・・・・・・しかし、何故俺の名を知っている?」



年のころは20歳前後か。
こんな女は見たことがない。




「・・・・・・転がしておいても困りはせんか」




立ち上がって背を向ける。

明日には冷たくなっていることだろう。

雨は体温を奪う。





「・・・・・・」




家に向かって歩を進める。だが。




「……ちっ!」




踵を返してその女を腕に抱き上げた。


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