乙女ゲーム夢4

□溺愛!
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「・・・・・・あ、やっぱりかわいー! ねぇ、名無しさん・・・・・・?」



「・・・・・・千鶴ちゃん、私このワンピ無理・・・・・・」



絶望的な気持ちで中途半端に着たワンピースを見やる。

背中のボタンを全部外したからなんとか着れはした。前から見たら申し分なくかわいい。でも。




「・・・・・・ボタン、たぶんはまらない・・・・・・」



太った?

ねぇ私太った?



がーん、とショックを受けながら私は隣ですんなりワンピを着こなした千鶴ちゃんを眺めた。



・・・・・・ダイエットしなくちゃやばいかも……。



「あー、なるほどね。そのワンピ、意外と胸元余裕ないんだ?」



「きゃあああ!」



「ちょ、沖田先輩! それ反則、ていうか犯罪ですよ!?」



カーテンの隙間から顔を覗かせた沖田先輩から逃げるように一歩退くと沖田先輩は私を見て何かを考えるように首を傾げた。



「千鶴ちゃんより名無しさんちゃんの方が胸あるんだね。いいこと知っちゃった」



「おおおおおお沖田先輩……っ!?」



いいことってなに!? と声が思わずひっくり返る。



「それって一点ものだよね? こっちのワンピース着てみてよ。絶対に似合うからさ」


サイズの替えがないことを確認したうえで似た色のワンピースを差し出した沖田先輩からそれを受け取りながら、もう何を突っ込んでいいのかわからなくなって逆に黙り込んだ。




「早くね? じゃないと覗いちゃうかも」



くす、と意地悪な笑みを残して再びカーテンを閉めた沖田先輩に慌てて服を着替えた。




「・・・・・・かわい」



我ながら、自画自賛だけど似合ってる・・・・・・。




「・・・・・・悔しいけど似合う、名無しさん」



千鶴ちゃんにもふてくされつつの太鼓判を押されて嬉しくなった。


「これ買おうー、すごいかわいい」



お気に入りの一着になりそうだな、と思って緩んだ顔をぱしぱし叩いていたらしゃっとカーテンが開かれた。




「!」




「あ、やっぱり。僕の目に狂いはなかったね。すごくよく似合ってるよ」



まっすぐにそう褒められて頬が赤く染まった。





「今度、それ着て僕とデートしてね」



「……っ!?」





―――――――――――――――――





「名無しさんは絶対にあげません!」



「妹の恋路を邪魔する姉ってどうなの? え、欲求不満?」




「きいいいいい!」




「ち、千鶴ちゃん・・・・・・」




「名無しさんちゃん、僕とデートするの嫌?」



「え、い、いえ・・・・・・嫌とかじゃ・・・・・・嬉しい、です」




「名無しさん!?」



「かわいいなぁ、もう」




「あたしの名無しさんが……っ!」




「千鶴ちゃんのじゃないからねー」




「沖田先輩は黙っててください……っ!」



2013/03/24
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