乙女ゲーム夢4
□ひとめぼれ2
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「そういや、君バレンタインはどうするの?」
「え? えーと、市販のものを買ってきますが……ワインとかの方がいいですか?」
軽く緒方先生に尋ねられてそう返すと、緒方先生が変な顔をして肩を落とした。
「・・・・・・あのさ。俺にじゃなくて、彼氏にだよ。あの花屋に!」
「え? あ、ああ! あははははは・・・すみません・・・」
「すみませんじゃないって・・・・・・ま、いいけど。で? どうするの?」
「う、うーん・・・・・・そもそもいつ会えるかわからないですしね」
最近結城さんがひどく忙しそうだなって見ててわかるから。
お花屋さんも不定休になってるし・・・・・・何してるんだろ?
会いに行っても休みになってたり、かと思えば私のマンションに突然結城さんが訪ねてきたり・・・・・・変な感じ、というのが本音で。
「へぇ・・・? まぁでも手作りでも渡しておけばいいんじゃないか? 市販のは客からたくさんもらうだろうしな」
「あ、そか・・・・・・そう、ですよね」
言われて初めて結城さんが他の人からもチョコをもらうんだって気づいた。
なんとなく凹んだ気分になりながら口の中でもごもごと「手作り渡すつもりなんですけど重くないですか?」と聞いてみる。
「好きな奴だからだったら重くない。好きじゃない奴からだったら重い」
端的でなるほどって感じの返答にこっくりと頷いた。
「ごもっとも・・・」
「そんなに考え込むなよ。俺から見た感じ、あの男はお前のことすごく好きだからさ」
資料に目を通しコーヒーに口をつけながらそう言った緒方先生の言葉にぽっと頬が熱を持つ。
―――――そう、かな? そう、なのかな?
・・・・・・だったら、嬉しいな。
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