乙女ゲーム夢4

□ごめんねの気持ち2
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次の日、緒方さんの家に暗鬱な気分を抱えたまま出向くと超絶不機嫌な緒方さんに出迎えられた。




「!? お、おは、おは……っ!」




「おはようございます、お兄ちゃんと仲がいい編集さん」



「!」



ぶすりと言われた言葉に昨日緒方さんも気づいていたのだと分かって余計に切なくなった。



女の人と仲よさげだったし、私の勘違いだった? 付き合ってると思ってたんだけど……。




「何考えてるの?」



「あ、の・・・・・・緒方さん、は・・・・・・私のこと・・・・・・どう思ってるのかな、って・・・・・・」



つっかえつっかえ尋ねると緒方さんは腕組みしてぴくりと眉をはねあげた。



「どうって、何が?」



「だ、から・・・・・・その、お付き合いしてるのは・・・・・・私の勘違い、だったのかなって……」




おどおどとそう尋ねた私に向かって緒方さんは腹の底からため息を吐き出した。

そして。




「! い、いひゃいれひゅけど・・・・・・」




むにー、っと頬を引っ張られて泣きそうになりながら緒方さんを見上げたら、緒方さんはもう一度大きなため息をついてぱっと手を離すと・・・・・・私をぎゅううっと腕の中に抱きしめた。




「!? あ、の?」



「馬鹿な子ほどかわいいっていうけどさ、バカすぎるよね・・・・・・なんでそっちにいくんだろ」




そっちってどっち、と思っていたら痛いほどぎゅうぎゅう抱きしめられて耳元で言い訳めいたつぶやきが聞こえた。



「あの子は友達の彼女だよ。相談に乗ってただけ。というか泣きそうな顔してたから俺が無理やり相談させたわけだけど……君ってば怒るでもなくお兄ちゃんと仲良くドルチェ食べてるんだもんな」



悔しそうにそう吐いて、緒方さんはこつりと私の額に頭を合わせた。



「・・・・・・俺ばっかり君を好きみたいだ」



拗ねたような視線に胸がどきりと高鳴る。


いつも大人なのに、今日は子供みたい・・・・・・でもこれも緒方さんなんだろう、と思って。

私も手をのばしてぎゅううっと緒方さんを抱き締めた。




「わ、私だって負けないくらい緒方さんが好きです・・・っ」



「・・・・・・うそ。俺の方が好きだ」



「私の方が好きですっ」


「俺だって言ってるだろ?」



「もう!」



堂々巡りにぽかりと彼の背中を叩くと、緒方さんがやっと表情を緩ませた。




「はは・・・・・・俺たち、バカップルみたいだ」



「ですね」


くすくす笑うと緒方さんが軽く私の唇にキスを落として、柔らかく笑った。




「・・・・・・今度俺の愛の証渡すから、ちゃんと薬指につけてね」



「左のですか?」


「もちろん。男の影が見えるたびに怯えるの嫌だしね」



「私だってそうですよ! 緒方さんもちゃんとつけてくださいねっ」



「・・・・・・もちろん。俺はいつだって君だけのものなんだからね」



2013/01/25
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