乙女ゲーム夢4
□あなたの隣2
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「…………二度とここには来るなって言わなかったか?」
「えーと…ごめんなさい」
「流聖、お客様になんてことを言うんですか。私がお招きしたんですよ…寂しく一人クリスマスになるというのでね」
「・・・・・・」
わー…頭抱えてる抱えてる。
きっと「どうしてそんなに仲良くなったんだ」とか「先に教えてくれてもよかっただろ」とかいろいろ考えてるんだろうなぁ…。
ごめんね、とは思いながらも私だってクリスマスを隆治さんと過ごすための苦肉の策なんだから許してほしいなぁ、とか。
私の隣に座って憮然とした顔でカクテルを作ってくれる隆治さんの顔を下から伺い見る。
「…怒ってる?」
「・・・・・・怒ってないよ。オレだって君と会えてうれしいんだ。ただここだとオレがここを離れたら誰かがヘルプに入るだろ? それが嫌なんだよ」
拗ねたような顔をする隆治さんが珍しくて口元が綻んだ。
かわいー…。
ほんとに拗ねちゃうからそんなこと口が裂けても言えないけど。
「クリスマスに隆治さんに会いたいなぁって思ってたから嬉しい」
とりあえず自分の心境を素直に口にすると、隆治さんが一瞬真顔になって距離を詰めてきた。
「え? えっ?」
何をするつもりだろう、と思って身を引くけど引いた分距離を詰められてそっと頬を両手で包まれた。
「りゅ。隆治さん…他に人がいるのに…」
何をするつもりなのか見当がついて赤い顔のまま抗議すると、隆治さんはくすりと口元をほころばせた。
「大丈夫。他の卓から見えてないから」
「でも…」
「だから・・・・・・そんな風に恥ずかしがられると、余計・・・・・・煽られる」
耳元に直接囁きかけられた声の艶に腰に甘い痺れが走って、私はきゅっと彼の服を握った。
「もう・・・・・・」
「キスできないだろ? そろそろ、黙って・・・・・・」
「んっ」
優しげな物言いとは違って噛みつくような口づけに背筋がぞくりとした。
こんな甘いクリスマス、初めてだよ・・・・・・。
「・・・・・・愛してる」
とろけるような微笑みとともに告げられた愛の言葉を。
(聖なる夜に)
2013/01/14