乙女ゲーム夢4

□自由な愛情
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「お茶が入ったぞ」



「はぁい」



「今日はマドレエヌだ」



「わぁ……っ」



焼きたてのマドレエヌを出されて思わず歓声を上げてしまった。



「好きだろう?」



「大好き! 均さんの作るものは何でも好きだけど、マドレエヌは一等好きよ!」



にっこりと笑いかけると彼も頬を緩ませた。


「ならいいが……あまり食べすぎるなよ。お腹の子供に悪いぞ」



頭をふわりと撫でられて、幸せな心地に私は目を細めた。




「もうすぐだものね」



大きくなったお腹にそっと手を添えて、元気に生まれてきてねと心の中で声をかける。
私のために紅茶を淹れておいてくれた均さんの優しさにきゅっと胸がうずいた。




昔はあんなに私のことを疑っていたけれど、今ではもうそんなこともない。


ただ屋敷を出て二人で暮らし始めて、そして結婚して子供を得た。


それがどれほど幸せだったことか……。



「あ」


「どうした?」


「今、蹴ったよ」



「何!?」



「あ、また」



ぽこん、とお腹を内側から蹴る感触に私が声を上げると、慌ててポットを放り出した均さんが私の足下に身を伏せてお腹に耳を当てだした。

手のひらでさするようにして耳を当てる必死な様子に思わず吹き出す。



「均さん…必死すぎるわね」


「必死にもなるだろう! 私がお父さんだと、教えないといけないんだからな」



まじめくさった顔でそう言われて、私は幸せすぎて笑み崩れてしまった。



「そんなに必死になってくれる人が父親なんて、この子も私も幸せだわ」



きゅっと均さんの頭を抱えてそう言うと、均さんも私の体にそっと腕を回してくれた。



「私も幸せだ…この上なくな」



そう言ってソファに座りなおすと、触れ合うだけの口づけをくれて・・・・・・。



(優しい腕の中で)


――――――――




「あ! いま、動いたのかっ?」



「蹴ったね」



「お父さんだぞ? わかるか?」



「あ、またぽこんってした」



「そうか! わかるのか・・・・・・お前がこの世に生まれてくるのを、楽しみに待っているからな」




2013/01/09
 

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