乙女ゲーム夢4

□その理由
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私は12のときに親に秘密倶楽部のような場所に売られた。



幼女として高値をつけられた私を大金をはたいてまで引き取ってくれたのが純一さんだ。



孤児院に入れてもらい、純一さんから他の子供たちと同様に惜しみない愛情をもらい、つい先日私はこの純一さんの屋敷に迎え入れられた。

他の子供たちは学校に行き社会に出て行ったのになぜ私だけと最初は疑問に思ったものの、メイドが欲しかったのだろうと合点した。



お父様と呼ぶのには大きくなりすぎていた私は、純一さんと名前を呼ぶようにしていたのだけれど他のメイドたちにはそれが不愉快で不可解でならなかったらしい。







邸の主になんという不遜な。


立場をわきまえ呼び方を改めるように。


接し方も弁えなさい。









再三言われたその言葉はもっともで、自分がどれほど世間知らずだったのかを思い知った。
























「名無しさん、やっと会えるぞ」



嬉しそうにそう告げた純一さんにタオルを渡して私は何のことだろうと首を傾げた。




「純一さん、誰にですか?」




「白い手巾の少女にだ!」




にっこりと微笑んだ純一さんに私は頷いた。



「それはようございました。夜会か何かですか?」



「ああ。しかも彼女の結婚相手を見つける夜会だという。成金だから会わせるまいとご両親には嫌がられているようだが、その夜会なら話すことも出来るだろう。ただ一言、礼が言いたい」



柔らかな表情で真摯に言い放った純一さんを見上げる。


その少女が、羨ましい。

何度も何度も寝物語にして聞かされた純一さんの昔話。




「さて・・・・・・名無しさん、服を脱がせてくれ」



「え?」



突然話が変わって、内容と共に驚いていると純一さんが私を見下ろしてなんとも言えない笑みを浮かべた。


「俺は疲れているんだ。早くしてくれ」



すっとその場に立ったままの純一さんを戸惑い見上げて、できないと訴えたけれど純一さんは私を見つめたまま微動だにしない。

いつも付き従っていたメイドたちはそんなことまでしていたのかと嫉妬のような感情で思いながら、私は恐る恐る純一さんの上着に手をのばした。




「早くしてくれ」



「あ、はい、ただいま…っ」



語気強く言われて慌てて純一さんの着ている服を脱がせていく。
上着の次はベストを、ベストの次はシャツを。


ボタンを外す手が震えてうまく行かない。

もたもたと外しながら純一さんが自分で外した方がよほど早いのでは、と思ったけれど純一さんは私を見下ろしてその様子を眺めるだけだった。



よほど、疲れているの?




そうは思いながらもズボンに手をかけることがどうしても出来なくて、おろおろと純一さんを見上げた。

紅潮した頬を恥ずかしく思っていると純一さんがふっと頬を緩めて私の頭をぽんぽんと叩いた。



「仕方がない奴だな。男の服の脱がせ方がわからないのか?」



「あの、いえ・・・・・・ええ」


「こう脱ぐんだ」



顔を赤くしたまま頷くと純一さんがカチャカチャとズボンのベルトを緩め、シャツを脱いだ。肌着も脱ぐとしなやかに鍛えられた裸の上半身が露わになって、羞恥心から顔を背けると純一さんが喉の奥で笑った。



「こんなことで恥ずかしがっていては、何も出来ないぞ。お前はおぼこだなぁ」




今日はこれくらいで勘弁してやる、と言って純一さんは浴室へと消えて行った。

その背中を赤い顔で見送りながら、私はほっと息をついて頬を押さえた。




「・・・・・・メイドって、大変だわ」


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