乙女ゲーム夢4

□手塩にかけて
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「おはよう、烝くん!」




慌てて家を出てお向かいさんで幼馴染の烝くんが待ってくれていたのにほっとした。



「おはよう」



ほんとうに微かに笑ってくれるのが嬉しくて頬が綻んだ。



「ほら、ちゃんとしないか。襟が曲がってる」



「うぷ」



烝くんの手が伸びてきて、襟を直したあと私の首にマフラーを巻いてくれた。



「あ、烝くん、これ烝くんの・・・」



「いい。風邪を引かれちゃ困るからな」



軽くそう返して歩き出した烝くんの隣に立って歩き出しながら私はふんわりと微笑んだ。



「ありがとう、烝くん!!」



「ああ」


照れ臭そうに視線を逸らした烝くんを見てから、私は温かいマフラーに顔をうずめた。





烝くんの匂いだ…。




清潔な柔軟剤の匂いがする。




一番近くにいられるのがいくら嬉しくても、いつまでたっても妹としてしか見てもらえないことが切なかった。

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