乙女ゲーム夢

□猫と猫っぽい人
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うん、私が浅はかだったさ。






子猫はかわいいし、愛で放題だし、山崎さんとも仲良くしてるんだけど……土方さんにはなんだかびくついてしまうし……平助君や原田さんや他の人たちにも挙動不審だって言われる始末。






そもそも隠し事の出来ない性格だって忘れてたんだよね。











「名無しさんちゃん」





「ぎゃあ!」




「今日は色気のない声だね」





「だからなんでいつも後ろから抱きつくんですかっ!」




「君がかわいいからでしょ」



「離してくださいー!!」



 嘘ばっかり言うんだから!




「……今日はどうしたんですか」




 引きはがして身構えながら沖田さんの方を向いて……はじめて気づいた。沖田さんがどこか不機嫌だっていうことに。





「……沖田さん?」




「……君さ、最近山崎君と仲がいいよね?」





「っ!」




 ばばばばばれてる!?
 いやばれてはないよね! 単純に山崎さんと仲いいって思われてるだけだし!






「そそそそそんなことないと思いますけどっ! そ、そういう沖田さんは千鶴ちゃんと仲いいですよね!」





 うぎゃあ! 私ってば余計なこと言わなくてもいいのにっ!





「……そうだね」





「え……」





 なんでそこで肯定して……そんな風に笑うの?




 嬉しそうな、楽しそうな……。




 胸をぎゅっとつかまれたような感触に手に持ったほうきの柄をぎゅっと握りしめる。





「千鶴ちゃんと仲いいと思うよ? だって最近君といるよりあの子と一緒にいることの方が多かったしね」





「……そう、ですか……」






「うん。……ねぇ、どうしてそんな顔してるの?」






「え? い、いえ……」





「……もしかして」









 すっと沖田さんとの距離が縮まった。そうと知った瞬間に耳元に吐息がかかる。

「……君、妬いてるの?」

「っ!」







 低く耳にささやくようにして言われたその言葉にか、それともその行為自体にか、私は早鐘を打った胸をおさえながら沖田さんと距離を取った。





「ななななな、なに……っ」





 なんで、妬いてる? 私が? だれに? 千鶴ちゃんに!?





「君、顔真っ赤だよ?」




「っっ!」




「ねぇ……あのさ」




「あ、あの!」




「名無し君! どこにいる? 名無し君!」




「や、山崎さん! 今行きますー! あの、沖田さん……それじゃあ、その、さようなら!」




「あっ! ちょっと!」







 も、もうわけわかんない!




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