乙女ゲーム夢

□甘えたい
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「……」



 黙々とお酒を喉に流しながら私はむつりとしていた。





 だって……。





「さ、もう一献どうどすか?」







「もらおうか」






 それはもう美しい太夫さんと土方さんは楽しそうに語らいながらお酒を進めている。








「……」



「左之さん! あれやってよ、あれ!」



 平助たちはうるさいし……。


 いつもなら私の様子に気づいてくれる左之さんはお酒に酔って楽しそうに騒いでるし。いや、いいんだけどね。おめでたい席なんだし。







 でもさー、もうちょっとさー。



 なんて愚痴っぽくなるのは私も酔ってるからなのかな?



「!」





 ひょいと私の手からお酒を取り上げた人がいて、私はむつりとその人をにらんだ。




「一ちゃん……返してよ」




「……すこし飲みすぎだ」





 言われてみればたしかにまわりに空き瓶が転がってるけどそんなの一ちゃんの知ったことじゃないと思う。




「むー……」






「お前は飲んでも顔に出ない。止める人間が必要だろう」






「んなことないってば。酔ってない」







 気を抜けば舌がもつれそうになるけどさ。
 取り返そうと手をのばしてもその手は空をきって、腹が立ってしまった。





「もう!」




「もうじゃない。すこし休めろ」





「酔い冷めちゃうんじゃん!」



「やはり酔っていたのか」



「……」





 揚げ足ばっか取って、もー!










「いいもん、寝る」





「!」







 ごろりと横になって一ちゃんのひざを借りた。
 あ、高さも固さもちょうどいいかも。







「……なにをしている」



「ひざまくら」









「……見たらわかる」







「じゃー、聞かないでよ」







「そうではなくて」



 あれ、一ちゃん困ってる?





「……いやだ?」









「っ、そうは言ってない……が……」








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