乙女ゲーム夢
□意地悪
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まぐまぐとお団子を頬張りながら着いてきたことを後悔する。
なんでこの人こんなにモテるんだろう……。
意地悪なのに。
「なにか言った?」
「お団子おいしいです」
「そ? ならよかった」
にこにこと笑っているけど、なんでそんなに楽しそうなのかがわからない。
……女の子の視線を集めてるのがそんなに楽しいのか。
「あ」
「う?」
声をあげた沖田さんを見ると、にやりと笑ってから沖田さんの手が私にのびてきた。
「?」
「餡子、ついてる」
「あ、すみませ……!?」
口元の餡子をぬぐってくれたのは良かったんだけど……そのままひょいとそれを沖田さんが食べてしまった。
「……っ!」
あうあうと口を開閉させながらいま目の前で起きた出来事を必死で処理するように努めた。
え?
あれ?
いまのって……あれ?
一気に顔に熱がのぼってきて、お団子片手にかたまってると沖田さんがにやにやと笑いながら「この餡子甘くない?」とか「どうかした?」とか聞いてくるから完全なる確信犯なんだと分かった。
「うー……なんでもないですっ」
「そう? ならいいんだけど……顔赤いよ?」
「生まれつきです!!」
「あは、それは気付かなかったなあ。ごめんね」
くすくすと沖田さんは楽しそうに笑う。
それを恨めしく思いながらもこんな風に過ごせるのがひどく楽しかった。
2010/07/07