乙女ゲーム夢

□父と恋人の違い
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「気持ちいー」



「ああ。たまにはこういうのもいいもんだな」



「ねー」









 二人縁側に並んでひなたぼっこをする。ほんとに、気持ちいい。




「お前さ」




「なぁに?」




「……土方さんにすげぇなついてるよな」




「へ?」




「お父さん、なんて言ってさ」







 左之さんはじっと地面を見つめながら表情無くそういった。











「……私ね、お父さんがいないの」





「!」





「いまの時代べつにめずらしくないんだけどね。……だからなぁんか父親っていうか……頼りになる男の人が好きなんだろうなぁ」






 左之さんも男らしいし。
 でも、土方さんは……。






「……土方さんは、新選組のお父さんなんだよ」






「はぁ?」





「あ、やっとこっち向いてくれた」





 呆気にとられたように私を見る左之さんに微笑むと、左之さんは照れたように視線を逸らして顔を赤らめた。






「……だって、怒るのって相手のことが大切だからでしょ? 土方さんが憎まれ役を買って出るのは隊士が大切だから。ぜんぶ包み込んで、受け入れて、それでも文句言わずに自分が信じてる道を突っ走ってる……そういう生き様に、頼りがいを感じるんだよね。それに何かとあの人世話焼きだし一緒にいると安心するの」





「……そっか」






「うん」







 でも左之さんといると、安心するよりもずっとずっとどきどきするんだけど。
 縁側にごろりと寝ころんで日の光を浴びる。



 眠い……なぁ……。

 左之さんと一緒にいるからかな? すごく、心地がいい。









「名無しさん?」



「すぅー……」



「寝たのか?」




 確かめるように頬をつついて寝ているのをたしかめると惜しげなくため息をつく。












「……お前は俺の気持ちにうなづいてくれたけどさ、お前……ほんとは土方さんのことが好きなんじゃねぇのか……?」






 不安げに吐き出されたその言葉は、眠っている彼女には届かなかった。







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