乙女ゲーム夢
□見えない気持ち
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仕事が終わって、カッツェに行くか帰るかですこし悩む。
さいきんホストクラブに入り浸っている気がする。
心配してくれる親もいないし、友だちには言ってないからなにも言われない。
「どうしよ、かな……行こうかな」
永久指名、なんてものまでしてしまって、私は一人のホストにはまりまくっていた。最初は怖そう、と思ったんだけど……そつないエスコートの中で見え隠れした瞳に宿る感情がなんなのかが気になって……。
「!」
手に持っていたケータイが音を鳴らした。
ディスプレイには「レイ」という名前。名前を見るだけでドキドキして、嬉しくなってあわてて電話に出た。
「こ、こんばんは!」
『こんばんは、いま大丈夫ですか?』
電話越しに聞こえた耳に染みいるような低い声。
私は同伴のお誘いに一も二もなくうなづいた。
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