乙女ゲーム夢
□征服欲という……
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おまけ
「土方さん、
近藤さんが呼んでました、よ……」
音もなく歩いてきたらしい沖田さんが障子をすぱんと開けた。
「……!」
「……」
「……」
歳さんはそらした顔で、私は歳さんの上に乗ったまま、沖田さんが目を見開いてこちらを見ているのを見ていた。
双方無言。
というか歳さんは青ざめて口をぱくぱくさせている。なにか言いたくてもなにも言えないみたいだった。……なんでいちばん見つかってはいけない人に見つかってしまったんだろう。ともあれ脱ぐ前でよかった、というか。
「お、総司。土方さんいなかったのかー?」
遠くの方で原田さんが沖田さんを呼ぶ声がした。
「そ、総司……っ」
裏返った声で沖田さんを止めようとする歳さんのあせった顔とは対照的に、沖田さんの顔が徐々に嫌味なほど満面の笑みを作った。
「左之さーん!」
くるりとこちらに背を向けて足取り軽く走り出す。
……い、言う気だ! あの人はぜったいにやる!
「ちょ、沖田さ……っ」
「ば、総司! てめぇ待ちやがれ……!!」
あわてて二人で立ち上がって追いかけるも……すぐさま鬼の副長は女に襲われる方が好みだと屯所中に広まってしまったのだった。
「……」
肩を落として落ち込む歳さんの背中をぽんぽんと叩く。
ごめん、ご愁傷様です。
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