乙女ゲーム夢
□ゆきさんと花屋さん5
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そしてある日。
大学からよたよたと、だるい足をひきずりながら歩いていたら、おもいきり人にぶつかった。
「っ」
「うわ、すみません!」
「いえ……って、九条さん?」
「名無しさん?」
「なんでこんなところでこんなに急いでるんですか?」
「いえ、社……結城さんが姿を晦ましたので」
悔しそうに言う九条さんに同情の眼差しを向けた。
気の毒な。
では、と言い置いて去る九条さんとは反対方向に歩きながら思う。
では今行ってもゆきさんはいないのだろうか、と。