乙女ゲーム夢
□ゆきさんと花屋さん4
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「暖房効いてるけど……このままじゃ風邪ひいちゃうよね……」
ぐるりともう一度部屋の中を見回してベッドの上の布団を拝借する。そっとゆきさんにかけると少しみじろいだもののやはり起きる気配はない。安らかに寝息を立てている。
……起きなくて良かったけど、困った。
一応今は戸締りをしたけれども私が出て行ったあと戸締りをする人がいない。鍵もない。
九条さんはとっくの昔に帰ってしまったし、ゆきさんを起こすのは良心が咎める。
……困った。
……………………
……仕方ない。ゆきさんが起きるまでここに居させてもらおう。
そう結論付けると、私は寝ているゆきさんの真ん前に座った。
……こんなに至近距離で顔を見るのは幼いころ以来初めてだ。
寝てたら幼い。可愛い。
そしてやはりゆきさんは目鼻立ちが整っている。女の私でもとても羨ましい。
……綺麗。
髪もさらさらで。
触れたら起きるかもしれない。
しかしつい髪の毛を触る。
……やっぱりさらさらだ。気持ちいい。
少し長めの髪をなでるように触りながら思った。
自分の気持ちが大分定まりつつある。
……私、きっとゆきさんのこと、好きだ。