乙女ゲーム夢
□ゆきさんと花屋さん2
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後ろからよしよしと頭を撫でられる。
……嬉しい。
「ん?」
と思ったら、髪の毛先をさらさらとすかれる。
「ゆきさん?」
「うわ!髪綺麗だね、名無しさんちゃん!」
飽きもせずひたすらすくゆきさんに恥しくなりおもわず身をよじる。するとゆきさんは気づいたようで「ごめんごめん」と笑って言って体を離した。
ちょっと残念なんて思ったのは内緒だ。
「でもさ」
「ふえ?」
思わず間の抜けた返事を返す。
「名無しさんちゃんのその考え方、俺すごく大好きだよ」
自然に顔が赤らんだ。
優しい笑顔でそんなことを言われると、「大好き」の対象を都合よく思い違いしてしまいそうだ。
しかしやはりそれは勘違いなのだと知らしめる存在が、あの人が訪れたのは、それから30分くらい後のことだった。