遙か夢参
□惜しむのは命ではなく
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望美達と泰衡様と一緒に大社を見に来ていて、私はふとした瞬間に反射的に泰衡様を背に庇った。
「名無しさん!?」
わずかに焦った泰衡様の声を聞き、片腕に攻撃をくらったことを自覚する。
「泰衡様、ご無事、ですか!?」
痛みに顔をしかめながら背後を振り返る。
刺客は銀が追って行ったから大丈夫だろうと思う。
それよりも泰衡様だ。
焦って振り向いた私に泰衡様はぐっと眉間にしわを寄せ、あろうことか私を抱き上げた。
「神子殿、先に失礼する」
「え、泰衡さん!?」
「泰衡様!?」
驚く望美と私の声を無視するような形で泰衡様は足早に自分の屋敷へと向かった。
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