遙か夢参
□照れた顔に期待する
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妹思いの天真くんに、画面越しに恋をした。
だからこの世界にトリップ出来たのは願ったりかなったりで幸せだったんだけど。
――――天真くんはやっぱりあかねちゃんのことが好きなんだ。
「天真くんって、あかねのどこがいいの?」
ぽつりと尋ねると天真くんは頬をぽりぽりとかいた。
「なんつーの? あいつの色眼鏡で見たりせずに、なんでも素直に受け取るとこ、けっこういいなと思う。俺のこと怖がらないしな」
あかねのことを話す天真くんの柔らかい横顔に胸がちりちりして、「ふぅん」と顔を背けてしまった。
「あ、でも」
「んー…?」
「お前もそうだよな。変な奴だなって思うけどさ、俺のこと怖がらずに普通に話しかけてくるし、結構素直で、でも頑固」
「…頑固、かなぁ?」
自覚はないんだけど、と思いながら首を傾げると天真くんがおかしそうに笑った。
「おう。理不尽なこととか自分が正しいと思ったことには頑固に意見貫こうとするだろ。いいと思うぜ、お前のそんなとこ。好感が持てる」
に、と笑って私を見上げた天真くんの言葉に一瞬なんて返していいのか戸惑って頬だけが勝手に熱を持って行った。
それを不思議そうに見ていた天真くんがふと気づいたように一気に顔を赤らめて慌てて首をぶんぶんと横に振った。
「ち、違うって! そういうんじゃなくて! いやそうなんだけど! だ、だから……っ!」
あたふた慌てて、最終的に真っ赤な顔を俯けて首に手を当てると、天真くんは上目遣いに私を見て、困ったように笑った。
「まじかっこわりぃ・・・・・・」
「天真くん?」
「…ま、ちょっとずつアピるからさ。覚悟しとけよ」
自信を取り戻したかのように、に、と笑った天真くんに頬が朱に染まるのを感じた。
2012/12/25