遙か夢参
□愛されちゃってますから!
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「名無しさん、今日はどこに行きますか?」
「神子、今日は面白い場所に連れて行ってやろう」
二人に手を差し出されて、私は「えーと」と固まった。
白龍の神子としてこの世界に呼び出された私は、申し訳ないことにゆきちゃんと成り代わってしまったみたいだ。
それでも精一杯白龍の神子として勤めているつもり!
なんだけど。
「おい、サトウ。邪魔をするな」
「お言葉ですが、邪魔なのはあなたの方ですよ。高杉さん」
私をはさんでばちばち火花を散らす二人に、私はおろおろした。
ゆきちゃん本人だったらこの天地玄武がけんかしなくて済んだかもしれないのに〜っ!
「あああああの、じゃあこうしましょう! 高杉さんの言っている面白いところに私とアーネストが一緒に行くって、どう、かな?」
私の提案に二人はぐっと言葉を詰まらせてしぶしぶ頷いてくれた。
「あなたがそう言うのなら、仕方がありませんね」
「お前がそう望むのなら」
「お前も大変だな」
都が私の頭をそっと撫でてくれた。
「あの二人本当に仲悪いねー。何か考えなくちゃっ」
むん、と腕にこぶしを作る真似をすると都が呆れた顔をした。
「え、なになになに? 何か変?」
「いーや、お前はそのままでいい。そのままでいてくれ」
「?」
「名無しさん、行きましょう」
「あ、はーい! じゃあ行ってくるね」
ぱたぱたと駆けていった名無しさんの後姿を見ながら、私は首をかしげた。
「あそこまであからさまにされたらふつう分かりそうなもんなんだけどな。ま、二人とも直接言葉にはしてないみたいだし、名無しさん鈍いしなぁ」
ちら、と部屋の中を見るとアーネストと高杉から贈られたもので溢れかえっている。
「ま、いっか。面白いし」
軽くそう結論付けて、私はごろりと横になった。
「休めるときに休んどこう」