遙か夢参
□頑張り屋の君が
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タン!
私は額から汗が伝い落ちてくるのに瞬きを抑えながら、乾いた音をたてて木に刺さる矢を見つめていた。
「もう少し、真ん中」
命中率は最初のころに比べるとずいぶん上がった。
でも戦場で、もし周りのみんなに何かあった時に少しでも力になれるように、頑張らないと。
脳裏に鮮烈な赤がよみがえる。
それと、キレイな紫苑の髪。
「……っ」
たん、と木をかすって矢が地面に突き刺さった。
――――揺れるな。
精神力も、鍛えないと。
何を考えていても、命中するように。