遙か夢参
□頑張り屋の君が
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「今日も出てこなかったね」
内気なのか、人の背中にそっと隠れるような静かな少女。
神子姫の友達にしてはなんだかちぐはぐな印象を受ける。
「最近ずっと弓の練習ばかりしてるんだよね」
「・・・・・・弓の?」
驚いて望美を見ると、彼女はこくりと頷いた。
「譲くんと違って向こうでは運動も何もしてなかったんだけどね、弓が一番自分にあってるからって。筋がいいみたいでかなり上達したって譲くんが言ってたよ」
「へぇ……驚いたね。彼女は、戦いに出ることを厭いそうだと思ったのに」
素直な感想を述べると、神子姫様は苦笑した。
「ヒノエくんもあの子の第一印象に騙されてる。あの子、内気だし自分に自信がなくて控えめだから分かりにくいけど、芯は強くて努力家なんだから」
なぜか嬉しそうに語る神子姫様に、俺はふっと笑った。
「ずいぶん、彼女を買っているようだね」
「私の自慢の友達だもん」
その望美の笑顔を引き出した名無しさんという少女に、今更ながらに興味が出てきた。
どんな風に印象が変わるか、楽しみだね。