遙か夢参
□頑張り屋の君が
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鮮烈な赤。
それに目を奪われて以来、私はその人に心を囚われたままだ。
「神子姫様、今日はどこに行くんだい?」
ひらりと猫のようにしなやかに現れたヒノエくんに、望美ちゃんはぱっと立ち上がった。
「今日はお仕事大丈夫なの?」
「神子姫様のためなら、時間を作るくらいなんともないよ」
に、と望美ちゃんに笑いかけるヒノエくんをぽうっと見つめて、私は慌てて自分の持つ湯呑に視線を落とした。
「名無しさん、一緒に行こう?」
「あ、えと…」
声をかけられて見上げると、微笑む望美ちゃんとヒノエくんがいて、お似合いな二人に喉がこくりと鳴った。
一緒に行きたい。
でも、邪魔かもしれないなんて思ったらそうは言えなくて、私は微かに微笑んで首を横に振った。
「やりたいことがあるから、二人で行ってらっしゃい」