遙か夢参

□少しずつ
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「あ……」




桃色の紙に桃の木の枝を添えて贈って来られた文に、私はふわりと笑みを浮かべた。

























季節外れだな、という気分と同時に今はいろんな時期があるしそういうものなのかな、とも思う。



今は四季入り乱れた季節だ。



五行の乱れからそういう風になってるんだけど・・・・・・友達のあかねが四人に増えるなんていう不思議な事態にも陥ってる。








―――――永泉さんに文を返さないと。




確か藍墨茶の紙があったはず、と思いながら藤姫のところに急いでいたら、一人のあかねに出会った。






「あ、名無しさん!」



「あかね、おはよう」



――――うーん、やっぱり見分けがつかないや。




友達甲斐のない奴でごめんね、なんて思いながら私はあかねが手に持った文に目をやった。



「それ・・・・・・」




桜色の文と、添えられた桜の枝。




「ふふー、永泉さんから贈られたんだ。返歌しなくちゃね」




嬉しそうに笑うあかねにちくりと胸が痛んだ。




「・・・・・・歌、くれたんだ?」



「そうだよー、永泉さんって毎日こうやって文くださるんだから。返すのも大変だよね」



「・・・・・・そう」



あかねの返答になんとなく違和感を覚えながら、ふと私は疑問を口にした。




「・・・・・・あかねって、歌なんて詠めたんだ?」




「そりゃあ、たしなみだもの」



「・・・・・・そっか」




神子様なんだし、こっちに来てすごく勉強したのかもしれない。



どこまでも自分とは違う友達に、ちくちくと胸が痛んだ。
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