遙か夢参

□年齢差なんて
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「よう、久しぶりだな」



一週間ぶりに会った従兄弟は、なんだかとても大人になっていた。


















「将臣、くん?」


「んー? 久し振りだな。よいしょっと」




「わわっ」



「んー、名無しさんの匂いだ」



抱き上げられて抱きしめられた。

―――なんだかすごく嬉しそう?




「将臣くん、成長期過ぎない? なんだか三年以上経ったみたいなんだけど…」



困ってそう聞くと、将臣くんは苦笑して「ちょっとな」と言った。



「にしてもお前、大きくならねぇな」




「・・・・・・毎日牛乳飲んでるんだけどね」



そして目いっぱいあなたに追いつくようにっておしゃれしてるんだけど。


そんな風に思っていると将臣くんの家から望美ちゃんが飛び出してきた。




「名無しさんー! 会いたかったぁ!」



「むぐっ」



将臣くんから奪い取るようにされて望美ちゃんに抱きしめられる。



――――胸があたって窒息しそ・・・・・・。



「こら望美! 名無しさんがオチる!」



「え? きゃあ! ごめんね、名無しさんっ」



慌てて離れて謝る望美ちゃんを見て、私はさらに首を傾げた。



―――望美ちゃん、綺麗になった?



「さ、入れよ。今年はちょっと客が多いが…ま、慣れてくれ」



「う、うん?」


「大丈夫だよ、みんないい人たちだから」


二人に促されてその後ろを追いかける。




―――やっぱり、お似合いだ。



いつ見ても、打ちのめされる、その二人に。







「あ、来たのか。久し振りだな」



なんだかほっとした様子の譲くんを見て、私もほっと息をついた。



「よかったー、譲くん全然変わってない」



「おい、それはどういう意味だ」


「えへへー」


「ったく、朝飯は?」



「食べたいっ、譲くんのご飯!」


「はいはい」
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