遙か夢参
□お似合いな
1ページ/2ページ
「兄さん」
「名無しさんじゃないか、おはよう」
「うん」
私はこくりと頷いて、ぐるりとまわりを見回した。
天の青龍――瞬に気づいて、どきりと胸が鳴る。それでも表情は変わらず、視線が絡まったまま。
彼も、逸らさない。
「…」
「…」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「こーら。僕以外を見るなんて、何してるの」
「兄さん、何も見えない」
後ろから目元を隠されて、足下をふらふらさせていると兄さんがそっと支えてくれた。
「僕以外を見るなら何も見なくていいよ」
「・・・・・・わがまま?」
「え、ひどい。わがままかな?」
「うーん、どうかな?」
「・・・・・・あー、お前さんたち、確か兄妹だったはずだよな」
地の青龍――龍馬が呆れたようにそう突っ込んだ。
「当たり前でしょ。今更何?」
兄さんの手が目から離れて、やっと視界が広がった。
もう一度ぐるりと周りを見回してみたけれど、今度は瞬と目が合わなかった。
「・・・・・・」
「え、なに? どうかした? なんだか不機嫌じゃない?」
「兄さんのバカ」
「ええ!?」
――――この感情は、なんだろうか。