遙か夢参

□お似合いな
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「兄さん」


「名無しさんじゃないか、おはよう」


「うん」


私はこくりと頷いて、ぐるりとまわりを見回した。

天の青龍――瞬に気づいて、どきりと胸が鳴る。それでも表情は変わらず、視線が絡まったまま。
彼も、逸らさない。



「…」


「…」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「こーら。僕以外を見るなんて、何してるの」



「兄さん、何も見えない」


後ろから目元を隠されて、足下をふらふらさせていると兄さんがそっと支えてくれた。


「僕以外を見るなら何も見なくていいよ」


「・・・・・・わがまま?」


「え、ひどい。わがままかな?」


「うーん、どうかな?」



「・・・・・・あー、お前さんたち、確か兄妹だったはずだよな」


地の青龍――龍馬が呆れたようにそう突っ込んだ。


「当たり前でしょ。今更何?」


兄さんの手が目から離れて、やっと視界が広がった。
もう一度ぐるりと周りを見回してみたけれど、今度は瞬と目が合わなかった。



「・・・・・・」


「え、なに? どうかした? なんだか不機嫌じゃない?」


「兄さんのバカ」


「ええ!?」


――――この感情は、なんだろうか。
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