遙か夢参

□意外と積極的
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「名無しさん、悪い男に捕まっちゃダメだからな!」



昔から都姉に言い聞かされてきた私は、どうやら感情の起伏が薄いらしく。

最近では「いい男を私がみつけてやるからな」と言われる始末。















「名無しさんさん」


声をかけられて振り向くと、沖田さんが片手に何かの包みを持っていた。


「・・・・・・それ」


「お団子です。土方さんが持って行けと。一緒に食べませんか?」



「お団子」



私はぱっと立ち上がった。


「ここにいてください、お茶を淹れてきます」



そう言い置いて、いそいそとお茶を淹れに行った。





「名無しさん? なんだか嬉しそうだな。どうした?」



「都姉。沖田さんが、お団子。一緒に食べませんかって」



そう言いながら、お団子の甘さに合ったお茶を調合するがごとく淹れると、私ははたと思い至った。



「・・・・・・都姉、いる?」



「いや、いいよ。沖田と二人で食べな」



「! うん」


こくりと頷いて、私はぱたぱたと沖田さんの待つ縁側へと急いだ。


































「う―――――――ん・・・・・・」



「お、都? どうした、頭抱えて」



「沖田か…そうか、似た者同士だけどなぁ……でもなぁ」



「・・・・・・何言ってるんだ?」



「沖田の男としての質を考えてる」



「はぁ?」




都がふと指をさす方向を見て、龍馬は合点した。



「なぁるほど。あの二人か、いや、お似合いじゃないか」



「でもなぁ……」



「二人とも、よく見れば喜怒哀楽わかりやすいしな、空気も似てるし……うまく行くだろうさ。そんなに心配しなさんな」



からりと笑う坂本から、都はぷいっと顔を背けた。


「分かってても嫌なもんは嫌なんだ。姉心として」
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