遙か夢参
□見る目がなくて
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「あのさぁ、弁慶。名無しさんくんにあたりがきつすぎない?」
「ふぅ・・・・・・自覚はしているんですがね」
望美さんに気安く近づく態度を見ると、どうにももやもやする。
「戦闘のときも名無しさんくんにはフォローしないしさ、ちょっとどうかと思うよ?」
「…わかっていますよ」
「それに、オレ最近少し思うことがあってさ」
「なんです?」
「・・・・・・名無しさんくん、実は女の子なんじゃないかなーとか」
「・・・・・・まさか」
景時が遠慮がちに出した言葉に、少しの間言葉を喪う。
「ありえませんよ、そんなこと。大体、男のふりをしてどんな利があるというんです」
そうは言いながらもどきどきと胸が嫌な音を立てて騒ぐ。
「でもさ、よく考えてよ。男だって言って入ってきたわけじゃないでしょ。そんな性別の摺合せなんてしないじゃない。それに中性的な顔してるし、結構体つきも細くて華奢だしさ。何より、オレたちと風呂の時間絶対にずらすじゃないか」
的を射た景時の説明に、やけに動揺した。
「ま、確信のある話じゃないんだけどね。ちょっと注意して見ていたらいいよ」
その言葉に背を押されて名無しさんくんの背中を探す。
すすめられた耳飾りをつけて微笑む望美さんに微笑み返す、その笑顔。
言われれば女性的に見えて、心臓がざわついた。