乙女ゲーム夢3
□タバコ
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「私が嫌いなもの。
1、虫
2、お年寄りを大切にしない人
3、歩きたばこ!」
すごい剣幕でそう詰め寄られて、俺はのけぞりつつ両手を上げた。
「俺はしないけど。歩きたばこ」
怒り心頭中の彼女に何を言っても無駄だと知っているから、余計なことは言わずにいようと思って様子を窺う。
そうしたら彼女は握った拳をふるふる震わせて叫びに叫んだ。
「だって! そもそもタバコって公害じゃない!? 本人だけじゃなくて周りにもいろいろ悪影響を及ぼすじゃない!? にもかかわらず歩きながら吸うってどういうこと!? というか私歩いてて前からタバコの煙が襲ってくるの本気で嫌いなのーーーー!」
「あー・・・・・・いるねぇ、そういうマナー違反する人」
「くー……っ! 撲滅すればいいのに!」
「そしたら俺も禁煙できていいかもな」
軽くそう呟くと、ぱっと彼女と目が合った。
「どうした?」
「やだ」
「え?」
「緒方さんはタバコやめたらやだ!」
「ええ? あんなにタバコ嫌いって言ってじゃないか」
「緒方さんがタバコ吸ってる姿見るの好きなんだもん・・・・・・」
副流煙だらけだけど、と重ねた彼女の不意打ちに頬が熱を持つ。
「・・・・・・じゃあ君の前だけでタバコを吸うようにするよ。煙のマシなものをね」
2012/11/17