乙女ゲーム夢3
□人魚姫
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弟たちにねだられてしぶしぶやってきた浜辺で出会ったのは、海の姫だった。
「あっはっはっはっは! あんさん、海の姫ってあんまりやわ! ロマンチストもいい加減にしときっ」
「笑うなトキ! あれはまぎれもなく海の姫だろう!」
「あほいいな、人間やがな。まぁとにかくあんさんが一目惚れしたっていうのは十分わかったしええどすけど」
「く……っ」
トキに言い負かされて悔しく思いながらも、俺は別室で眠る少女に想いを馳せた。
日本人にしては少し色素の薄い髪、白くまろやかな頬、赤い唇。
人形のように美しい、と思ってしまった。
目を開けばどう変わるのだろう。
「・・・・・・口は、きけるのだろうか」
「あー、人魚姫か? きけんかったらほんまに海の姫かもなぁ・・・・・・ぷっ」
「・・・・・・やかましいぞ、トキ」
―――早く目を覚ませ。
そう思って、ふと思いついた。
「・・・・・・そうか。あれをせねば目が覚めん」
「あれ? あれってなんやの?」
「あれと言ったら決まっているではないか!」