乙女ゲーム夢3
□信愛
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隆治さんは優しい。
喋れない、という点で人よりもハンデのある私を受け止めてくれた優しい人。
それなのに、まだ隆治さんを信じきることのできない私がいる。
誰かが「男は浮気するものだ」と言っていた。
そんなことない、って言いたい自分と、確かにそうだね、と思う自分と。
でも隆治さんに限って・・・・・・信じていいんじゃないだろうか。
―――信じたい。
信じたいという気持ちとは裏腹に、やっぱり怖い自分がいるんだ。
仕事帰りに買い物をしていた時だった。
人ごみの中でも見つけてしまった、好きな人。
声をかけることは出来ないから、手を振ろうとしたけど、私はその光景を注視した。
―――女の人と、腕を組んでる?
どうして?
ドキドキと胸が嫌な音を立てた。
お姉さんとか?
―――ううん、違う。
直感が、違うと訴えていた。
でも恋人のような親密さもない。
楽しそうだし親しそうだけど……隆治さんの態度がなんだか違う。
私に向けてくれる笑顔とは……違う気がする。
あの人は・・・・・・だれ?
おしゃれなスーツを着て、キレイな女性をエスコートしていく隆治さん。
まるで、ホストみたいな・・・・・・。
思わず二人の後を追いかけた。
人ごみの中見失わないように、気づかれないように追いかけて、彼らが入った場所に息を呑む。
―――ホストクラブ?
華やかな店並みに驚いて、私は少しの間ぼうっとその扉を見続けていた。