乙女ゲーム夢3
□信愛
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何度か店に来て友好を深めて、付き合ってほしいと切り出した俺に、彼女は戸惑いながらも笑顔で頷いてくれた。
「ただいま」
ドアを開けると、奥からぱたぱたと足音が聞こえてきて、名無しさんが顔を出した。
意思疎通を図るためのメモはないものの、その笑顔で「おかえりなさい」と言われているのがわかって、俺は彼女の頭をそっと撫でた。
「来てたんだな」
そう言うと頷いて笑ってくれる。
彼女と付き合い始めてからもう三か月。
少しずつ少しずつ距離を縮め、男女関係に怯える彼女を口説き落としたのだった。
だがまだ彼女にホストをしていることは言えてない。
男に裏切られて声を失ったという彼女だから余計に、どう伝えればショックが少なくて済むだろうかと考えていつも堂々巡りになるんだ。