乙女ゲーム夢3

□信愛
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――――悪いな、オレ結婚してんだわ。





今思えば私が馬鹿だったんだと思う。


でもその時は、本気で好きで、すごく愛してた。



全て捧げて、彼に、尽くしたのに……。




その日から、私は口がきけなくなった。



























―――カランカラン。



ドアを開けて入ってきたのは、儚げな女性だった。



「いらっしゃいませ」




笑って出迎えたのはいいが、顔に覚えがない。

新規の予約が入っていたかな、と考えていると彼女はメモ帳をオレに差し出した。




『カットをお願いしたいんです。出来れば今日、難しければ予約をお願いします』




「・・・・・・今日でも、大丈夫ですよ。10分ほどお待ちいただけますか?」



内心の驚きを隠して、オレはそう言って彼女を見た。
すると彼女はふわりと笑って頷いた。


耳は聞こえるけれど喋れないのか。


後天性の病気か何かだろうか。中途失聴とかそういった?


それとも、精神的な何か・・・・・・?


下世話なことと知りながら頭の中はそんな疑問でいっぱいで、途中で我に返ってその疑問を打ち消した。



―――どんな人でも、大切なお客様に変わりはない。



ただ、彼女の存在と名前は妙に記憶に残った。
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