乙女ゲーム夢3

□真実あなたを
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「今日のパーティーは姫様の結婚相手を決めるためのものだって、聞きました」



「・・・・・・そうね」




頷くと真島の表情がゆがんだ。



そんな素の表情を私に向けてくれることが嬉しい。




「・・・・・・真島は、百合子姉様が、好きね」




「え……」


不意をつかれたように真島はきょとんとして、数拍置いてから頷いた。



「もちろん、そうでしょう」



「そうよね。もちろん、そうなのだわ」



この愛しい男は、決して私を見ることはない。


ひと時の慰めにしてくれたことを喜ぶべきなのだ。




「真島。今日真島がどう行動を起こしても、私はあなたを恨まないわ」




その私の発言に、真島の顔が固まった。
そしてにっこりと底の見えない笑みを浮かべて小首を傾げる。




「俺がどんな行動を起こすって言うんです?」



「実行するも、取りやめるもあなたの自由よ。育ててもらった恩も、愛情を注いでもらった自覚もあるけれど・・・・・・あの人のしたことは私も許せないから。ああでも・・・・・・お母様には、あなたに出会えたことを感謝したいけれど」




「・・・・・・何を言っているんです?」



目が笑っていない。


私が何を知っているのか探るような目で真島はじっとりと私を見つめた。

それを真っ向から受け止めて私は軽く首を横に振った。



「知ってるのよ。理屈は抜きで知っているの。だからって私が何かをしようとしているわけではないわ」



そう思っても、真島は表情を緩めない。


何度となく抱いた女が何者か、今更ながらに品定めをしているようだった。





その頬に手をあてて、振り払われないことをいいことに、その唇にそっと口づける。



真島からは何も答えてくれない、乾いた口づけだった。





「――・・・・・・好きよ、真島。でももうあなたを好きでいることが辛いの」
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