乙女ゲーム夢3
□真実あなたを
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「元気に咲いているでしょう? まるで……姫様みたいだ」
「……そうね」
とろけるような笑顔でそう言う彼に私はぬるい笑顔を返す。
あなたの心が私を見てくれることはないのでしょうか?
あなたが私を抱いてくれるのは私がほかの女みたいに独占欲を示さず、自惚れないからだと知っている。それが嬉しくもあり、虚しくもある。
「ん…」
「真島……」
さらりと彼の髪を撫でる。
寝ると幼さを増す彼の顔。
でも時にとても冷たく鋭くなると知ってる。そして姉様を見ているときにはとろけるような笑顔を浮かべることも。
「……私があなたを癒せたらいいのに」
でも無理なの。
だって、原作を知っているから私もわかっている。真島がどれほど百合子を愛しているか、心惹かれているか。
彼女に好きだと言ってもらえただけで復讐を止めるような人なんだから。
―――もうすぐ、パーティーだ。
百合子姉様の結婚相手を決めるための。
私も、相手を探さないと・・・・・・。
この報われない想いを、不毛な関係を、断ち切らないと。