乙女ゲーム夢3
□男色
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「・・・・・・左之」
「お、どうした? 元気ねぇじゃねぇか」
縁側で涼んでいると斎藤がやってきて、ぎこちなく隣に腰を下ろした。
なんだか言いたいことがあるのに言いにくそうな、そんな雰囲気を出す斎藤に黙っていると、斉藤はばっと顔を上げた。
「俺は、おかしいのだろうか……っ!?」
「は・・・・・・?」
「最近、俺は男色の気があるのではないか、と・・・・・・」
ぎゅ、と眉間にしわを寄せて悩む様子を見せる斎藤に、俺はぽかんと口を開けた。
「・・・・・・男色? お前が?」
女に鼻の下伸ばしてるこいつも想像できねぇが、男に鼻の下伸ばしているこいつも想像できない。
自分が変な顔をしているという自覚がありながらも首を傾げていると、斎藤がかるく頭を振った。
「おかしいんだ。最近・・・・・・あいつが可愛く見えて仕方がない・・・・・・他の男と話していると腹が立つんだ・・・・・・何故、こんな」
「あー落ち着け。あいつって誰だ?」
まさか、と思いながら尋ねると斎藤は頬を赤く染めながら「名無しさんだ」と漏らした。
「あー・・・・・・」
別に男色じゃないと思うがね、と思いつつそれは自分が暴露していい話ではないだろうと頭をひねらせた。
「まぁ、いいんじゃないか?」
「何っ?」
「男色が、とかじゃなくてさ。一人の人間として見たあいつが魅力的だったんなら、それでいいんじゃないか?」
に、と笑いかけると斎藤は何かを考え込むように黙り込んだ。
―――報われるといいなぁ。なぁ、名無しさん。