乙女ゲーム夢3
□男色
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「名無しさん、俺の洗濯物は乾いているだろうか?」
「はい! どうぞ、こちらを」
斎藤さんの首巻の替えを渡すと、ふわりと頭を撫でられた。
「助かった。礼を言う」
「自分の仕事ですから、お気になさらず」
にこりと笑いかけると、斎藤さんの表情が和んだ。
こういう時、男装しているのがばれていなくてよかったと思う。
だってきっと女性だったら、斎藤さんはそんな穏やかな笑みを向けてくれなかっただろうから。
新選組で働くことを許してもらえたものの、女性のままではまずいということで男装を勧められた。だから私が女であることは内緒だ。
聡くて気づいている人も何人かいるみたいだけど。
「あ、そういえば、千鶴が今日は魚の煮つけだと言っていました。斎藤さん、お好きでしたよね?」
「・・・・・・ああ。よく覚えているな」
嬉しげに頬を綻ばせてくれる斎藤さんを、ずっと見ていられたらいいなと思っていた。
ずっとずっと近くで。
たとえ男性と思われていたとしても。