乙女ゲーム夢3

□ご褒美は
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足が痛いの、迎えに来て。










そんなメールが入ったことに喜ぶ俺がいる。





彼女といると、新しい自分とばかり、出会うんだ。























待ち合わせに指定されたのは某有名ホテル。



そんな場所にどんな用が?と邪推したけれど、出会った彼女は明らかに結婚式帰りだった。





「ありがと。あー、もう限界」



助手席に乗った途端に細いパンプスを脱ぎ捨てる彼女に苦笑いして俺は車を出した。





「結婚式に行くなんて聞いてないけど」




着ているドレスも、履いていたパンプスも俺が前にプレゼントしたもので、似合っていると満足に思う自分と、俺に見せる前に誰かに見せたのだという嫉妬が自分の中でないまぜになった。





「・・・・・・」



「芳彦、怒った?」






「・・・・・・」



彼女に振り回されているという自覚があるから、素直に頷けなくてただ前を向いて運転する。



「・・・・・・どうせ芳彦に会うんだしと思って、このドレス着てきたんだけど……」




「……っ」




む、と口がへし曲がる。



俺といたって全然表情が変わらなくて、見た目も中身も綺麗なクールビューティ。


俺だけが好きなんだ、と拗ねた気分で思っているのに時折こうやって大きな「かわいい爆弾」を落とすんだ。




「似合ってる」



悔し紛れにそれだけを言うと、彼女はにっこりと微笑んだ。



「知ってる。だって芳彦がプレゼントしてくれたものだもの」






――――この……っ!




思わずハンドルを握る手に力がこもって、俺は路肩に車を寄せた。


情緒も何もない、と分かっていながら彼女に向き直って拗ねた顔を晒す。




「・・・君に忠実な犬にご褒美は?」




すかさず頬にキス。




「・・・・・・それだけ?」



不満に思ってそう言うと、彼女は小首を傾げた。





「明日からね、一週間有給取ってあるの。芳彦、時間作れるでしょう?」




「! 本当に!? 取れる! どこか行こう!」





今までの不満も吹っ飛ぶようなその言葉にぱっと顔を輝かせると、彼女が嬉しそうに微笑んだ。





(俺は君の虜)


2012/9/16

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