乙女ゲーム夢3
□冷たい顔と優しい手
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「総司くん、買い物に付き合ってくれない?」
「――いいよ」
うなづいてくれた総司くんにほっとした。
「あのね、今日野菜の炒め物とお豆腐のお味噌汁にしようと思うの。あとほうれん草のおひたし。どうかな?」
「食べれたらなんでもいいよ。別に僕に聞かなくても君が作りたいものを作ればいいだろ」
「そ、だね。ごめんね」
「謝らないでよ。いじめてるわけじゃないんだし」
「う、ん…」
なんで。
なんで総司くんは私につっけんどんなのかな。
一緒に買い物に付き合ってくれるだけでも十分なのかもしれないけど。
寂しい、な。
「おまけしてくれてありがとー」
「はいよ、またおいで」
ほくほくしながら店先を離れると、ひょいっと荷物を横からさらわれた。
「え、え? い、いいよ、総司くん! 私持てるからっ」
「いい。僕が持つ」
「だって……っ」
「僕荷物持ちでしょ。それにこれくらい重くないから。買い物終わったなら屯所戻るよ」
ぷいっと顔を逸らされて、小さく「ありがとう」と言うと総司くんは軽く肩を竦めた。
―――そんなだから。
そんな風に優しくするから、私、総司くんのこと好きになっちゃうんだよ。