乙女ゲーム夢3
□魅入られて
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「・・・・・・」
「よう。この前の菓子と茶をくれ」
「甘いものはお嫌いだったはずじゃ?」
「糖分と休息を取れって言ったのはあんただろ」
―――興味ないって思ってたのに。
まさかもう一回来るなんて。
若干戸惑いながらも注文を通す。
「・・・・・・この間の、美味かった。甘いものが嫌いでも食べれたし、ほっとした。礼を言う」
まっすぐに見つめられて頬を緩ませて言われたお礼に、気づけば胸が高鳴った。
―――どきん、ってなんだ!?
思わず胸元をぎゅっと握りしめる。
「これ、よければ使ってくれ」
「は…」
すっとさりげなく手に握らされたものは帯飾りで。
細かい細工のそれにぎょっと目を見開いた。
「い、いただけません! こんな高価なもの……っ」
「…わざわざ礼にと選んできたんだ。あんたがいらないというのなら、ゴミになるが」
む、と眉間にしわを寄せたその人に私はひたすらに戸惑った。
「で、も・・・・・・おまけって勝手に私が……」
「じゃあ、名前を教えてくれ。俺は土方歳三だ」
「あ…え、と・・・・・・」
――――興味ない、と思ってたのに気づけば調子を乱されて、彼の思うとおりになっていた。