乙女ゲーム夢3

□互いに言葉少なく
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「何も変わりはない?」


「ああ。あ、でも」


「何かあった?」


「うん。屋敷にね、新しく使用人が入ったんだ」


「へぇ……?」


そんな話するの、珍しい。

素直にそう思った。


でも屋敷への滞在中、何度となくその光景を目の当たりにすることになる。






















「・・・・・・」



「最近進、はるちゃんとよく一緒にいるよねー」


「あ、俺わかった! 進はきっとはる吉が好きなんだよ!」


「この馬鹿博!」


「いったぁ! 何するんだよ、正兄さ・・・・・・あ」


「・・・・・・博くんも、そう思う?」


「え、え!? あ、あーいやーどうかなぁ? ほら進って誰彼かまわず優しいし!」


慌ててフォローを入れようとする博くんの頭を、ふわりと撫でる。


「ありがとう」


そう言って、食堂を出た。
















「この、馬鹿が! なんで空気が読めんのだ!?」


「うぁー、やっちゃったよ俺・・・・・・」


「博のばーか。これで名無しさんが婚約破棄したら博のせいだね」


「ええ!? そこまでするかな!?」


「・・・・・・するかもよ。あの子ってば最近思いつめた顔してることが多かったし」



「ううううううそ、どうしよ茂!」




「うーん、ここはご本人に頑張ってもらわないことにはなんとも」



「あれ、ここに名無しさんがいませんでしたか?」


がちゃり、と開いたドアに全員の視線が吸い寄せられた。


「え…もしかして、タイミングが悪かったですか? なんで自分は注目を受けているんでしょうか?」


「・・・・・・進」


「は、はい?」


「進、ぜーんぶ、進が悪いんだからね!」


「何の話なんだい、博?」



「進のばーかばーかばーか! 死んじゃえ!」


「え、えーと・・・・・・意味が分からない。なんでこんなに大きなブーイングを受けてるのか…」


「とーにーかーく! 進はもっと名無しさんちゃんと一緒にいる時間を増やせばいいんだよ」


「はぁ……」
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