乙女ゲーム夢3

□かわいすぎて
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「ほぅ……」


湯あみを終えて一息つく。


屯所の中、幹部の人たちの部屋のほど近くに私の部屋がある。
住み込みで、ってなった時にどこでもいいと言ったんだけど近藤さんの配慮で心配のない場所に部屋をもらった。

幹部なら馬鹿なことは考えないだろうからと。



「・・・・・・かっこ、よかったなぁ、今日も」


ぽつりと呟いて私は顔を火照らした。

原田さんを見たら幸せな気分になれる。
叶わない片思いだけど、少しだけ幸せになれるならそれでいい。

ほんのり幸せな気分を胸に抱いて、私は布団にもぐりこもうとした。


けど。



「名無しさん、今いいか?」


「えっ?」



この、声。


「原田だ。開けるぞ」


「ちょ、あ、開けます!」


慌てて襖を開けに行くと、原田さんが部屋の中に滑り込んできた。


「ど、したんですか……? もしかして、お夜食とか?」


「いや、夜這いに来た」



「へ?」


どかり、と布団の上に座り込んだ原田さんに思考が停止する。


―――夜這い?


「え!?」


「ちょっとここ座ってくれ」


「は、は、原田さ…!?」


「いいから座れって!」


ぐいっと腕を引かれて原田さんの目の前に座らされる。
腕を掴む手が、熱い。


「……っ」



「俺は、お前のことが好きだ」


「!」


「最初は、ちっさいのがちょこちょこ動いてるのが妙に気になって見てたんだ。かわいいな、って。でもお前がどれだけ真剣に一生懸命仕事してるかわかって、いいなと思った。んでずっと見続けて好きだなと思った」



「原田、さん…」


「嘘じゃねぇぞ」


に、と原田さんの唇が上がる。
腕を掴んでいた手が、私の頬に触れる。


「見るたびにかわいいなと思って、好きだなと思った。見るだけじゃ足りなくなって今日ここに来た。夜這いだけどさ、告白兼夜這いみたいなもんで・・・・・・お前が俺を嫌じゃなければ、と」



涙腺が、弱くなった。

ぽろりと涙が頬を伝い落ちる。



「……っ、私で、いいんですか……? 私、こんなだし、かわいくないし色気ないし……っ」


「お前がいいんだよ。お前じゃなきゃ嫌だ。お前はかわいい。可愛いお前が好きなんじゃなくて、お前がかわいくて仕方ないんだ。色気なんて、何もしてないのにあったら困る。悪い虫がついて仕方ないだろ」



おどけたように笑うと、原田さんが私との距離をつめた。



「・・・・・・俺と一緒になる覚悟、決めてくれるか?」


「っ、私も、原田さんが好きです。目が合うと、姿を見ると、いつも幸せで、嬉しくて……っ」



「・・・・・・ほんと、かわいいなぁ、お前」


ふ、と原田さんの表情が緩んで、唇が重なった。



口づけに必死になってついていっていると、合わせから滑り込んだ手がつるりと肩から浴衣を落とす。
剥き出しになった肩に原田さんはちゅと唇を落とした。


「しっとりしてて、気持ちいい。手に吸いつくな」


「……っ」



羞恥で頬に熱が上る。


そっと褥に押し倒されて、再び唇が重なった。
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