乙女ゲーム夢3
□かっこかわいい!
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「あー、かわいいなぁ……」
ぽつりとつぶやくと友千香が「また始まったよ…」と呆れた声を出した。
「あのね、あんた林檎先生を見るたびにかわいいって呟くのやめてくれない? 聞き飽きたわ」
「えぇ? かわいいじゃん! ねぇ、ハルちゃん?」
「あ、はい!月宮先生はとてもかわいらしい方だと思います!」
「ねー? ……ほら、ハルちゃんだってそう言ってるし」
「誰も林檎先生がかわいくないなんて言ってないでしょ! あんたが毎日毎日見るたびにそんなこと言うからじゃん!」
「林檎ちゃんてばほんとかわいいなぁ……」
ぽつりとそうつぶやいた瞬間目の前に影が出来た。
なんだろうと思って見上げると……え?
「・・・・・・あたし、かわいいだけじゃないんだから」
に、と唇を釣り上げて微笑む姿は艶やかに。
でもそれは、明らかに女性的な色気じゃなくて男性的な色気。
完全にあてられてしまって私は一気に顔が熱を孕むのを感じた。
固まっているとそのまま林檎ちゃんの顔がどんどん近づいて、距離がなくなった。
「……っ」
「…ふふー。名無しさんちゃんのさくらんぼみたいな唇奪っちゃったー!」
「りりりりり……っ!?」
「とりあえず、あたしがかわいいだけじゃないってわかってもらうために、今度デートしましょうね?」
「〜〜〜〜〜っ!」
満面の笑顔で自分の唇を指先で押さえてそう言う林檎ちゃんがひどく艶やかで、私は声もなく叫んで真っ赤なまままた固まってしまった。
それを面白そうに眺めて、林檎ちゃんがすっと私の耳元のかがみこむ。
「・・・・・・その時は、ちゃんと俺の魅力も伝えてあげるからね」
「っっっ!!」
かわいいなんて。
―――林檎ちゃんはかっこかわいいです。
2012/8/25