うたプリlong夢
□ヤキモチなんて
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なっちゃんはすごく優しくって、私にとって素敵な彼氏。
お互いに相思相愛、っていうのは自身があるんだけど、唯一不満があるとすればそれは・・・・・・。
「それでね、その時友ちゃんが…」
「あぁッ!」
「!?」
「あ? げぇ!?」
突然大きな声をあげたなっちゃんにびくぅっと肩がはねて、その視線をたどるとそこには買い物をしていたらしい来栖くんの姿。
なっちゃんの周りに花が咲いたようになって、彼は私と繋いでいた手をさらりと放し一目散に来栖くんの所に駆けて行った。
「翔ちゃあああん! あーもうかわいいなぁ翔ちゃんってば。はい、高いたかーい」
「うああああああ!? やめろっつってんだろー!?」
来栖くんを抱き上げてくるくるその場で回りだしたなっちゃんに私はむっと自分の眉間にしわがよるのを感じた。
―――――今まで私とお話ししてたのに。
それに突然離された右手もすごく寂しい。
来栖くんが見えたら一目散に来栖くんの所に駆け寄って行くそんななっちゃんが時折すごく嫌で、哀しくて、寂しくて、どうしようもなくなってしまう。
「おま! ここショッピングモールだってわかってんのか!? 周りからすげぇ注目されてんだよ!!」
「えぇ? そうですかぁ?」
「そうなんだよ! 気づけよッッッ!!」
来栖くんの言ってることはもっともで、私たちはまわりから大いに注目を受けていた。
「・・・・・・なっちゃん、来栖くんもそう言ってるんだし離れて? 今日はマグカップ買いに来たんでしょう?」
私がカップを割っちゃったからおそろいで買い換えようって、ここに来た目的はそれだったはず。
眉間にしわが寄ったままなのを自覚しながらぱたぱたと駆け寄って声をかけたのになっちゃんは来栖くんを抱き上げたまま私を見ずに言葉を返した。
「んー・・・・・・もう少し、ね?」
「ねじゃねぇっつってんだろぉ!?」
ぐぇ、といわれるほど強く来栖くんを抱きなおしたなっちゃんに胸がぎゅっとなる。
「・・・・・・じゃあもういい」
「名無しさんちゃん?」
「名無し?」
「……っ! なっちゃんなんて大っ嫌い!!」
そう言い捨てて人ごみにまぎれて駆け出す。
「名無しさんちゃん!!」
当惑したまま縋るようななっちゃんの声が耳に聞こえたけれど無視して走りとおす。
―――――傷ついたようななっちゃんの顔がまぶたの裏に焼き付いて離れなかった。
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