うたプリlong夢

□翔子ちゃんの葛藤
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小傍唯としてモデルデビューしてくださぁい! 拒否権はもっちろんありまっせーーーん!







豪快な理事長にそう言われて問答無用でモデルにさせられた可哀想な俺・・・・・・。







いや仕事は仕事なんだからちゃんとするぜ?



けどさ、でもさ。






嫌なもんは嫌なんだって―――――のッ!!!






ばっちりメイクで(美容師さんに薄化粧でここまで映えるなんて末恐ろしいわ唯ちゃん!て意味のわかんない賞賛を受けた)一緒にモデルの仕事をこなす予定のモデルを控室で待つ。




向こうはさすがに本物の女の子なんだろうけどさ。





なんだって俺がこんな目に・・・・・・。





心の中でぶつぶつ言いながらあんまり喋ったらボロが出るよなぁと自己分析していたとき、ドアがコンコンとノックされた。





「! は、はい、どうぞ!」





思わず意気込んで返事をして椅子から立ち上がる。




この業界は礼儀が大事だもんな!





「失礼します」






ふぇー、可愛い声。






そう思った俺の思考は、彼女が姿を現したと同時に停止した。






「小傍唯ちゃん? 私、名無し名無しさんです・・・・・・これから、よろしくね」






花の香りがした。






――――――妖精みたいだ・・・・・・。






のぼせた頭でそうつぶやいて、俺ははっと我に返った。




なんだ今のなんだ今の!?
 

思考回路まるで那月みたいだったぞ!?




「唯ちゃん? あ・・・・・・唯ちゃんって呼んでもいい? 私も名無しさんって呼んでくれていいから」



ふわ、と花が綻ぶように微笑むその子にこくこく必死に首を縦に振った。





名無しさん、かぁ……名前までかわいいな。





とてとてと俺に近づいてくる様子がまるで小動物みたいで破壊的に可愛い。




しかも俺の目の前に立った彼女は本当に小さくって、俺でも抱き締めたら腕の中にすっぽりとおさまりそうだった。







「ん、はじめましての握手」





大人しそうに見えてけっこうしっかり自己紹介してる。




俺、情けねぇ…。




「よ、よろしく」





差し出されたその白くて小さな手を握ると、これまた自分と違って柔らかくて小さな手に驚いた。






「・・・・・・ちいさ」




「わぁ…唯ちゃん、何か運動でもしてるの? 手、大きいしマメもあるね」




驚いたように言われて俺は慌てて自分の手を彼女の手と引き離した。





「か、空手してる・・・・・・ダンスも得意。・・・・・・手、ごつくて嫌だったらごめん」




ちょ、おさまれ俺の心臓……っ!




嫌われたらどうしようとかいろいろ考えて勝手に気分が落ち込んで心臓が高鳴る。



そんな俺を大きな目できょとんと見つめて、名無しさんはふんわりと再び微笑んだ。

そしてすっと手を出して俺の手をもう一度握りこむ。



「嫌じゃないよ。私運動苦手だから羨ましい。唯ちゃんって、かっこいい女の子なんだね」




かっこいい・・・・・・。




前後に言われた言葉とか丸無視で、かっこいいって名無しさんに言われたことが舞い上がるほど嬉しい。





「パートナーが唯ちゃんでよかった」





間近で微笑まれて言われた言葉に三度思考回路が停止した。







―――――そうだよ。





一目ぼれしたって俺今女装アイドルしてる最中じゃんかーーーーーー!





赤くなったり青くなったり忙しい。




名無しさんが心配そうに何度も声をかけてくれるのが嬉しくも物悲しかった。

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