うたプリlong夢

□あなたのために
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私が差し出した四角い箱を、レンくんは蕩けんばかりの笑顔で受け取ってくれた。




「嬉しいよ。ありがとう」



いそいそとリボンを解きながら「手作りかい?」と尋ねるレンくんに私は微妙な顔を向けた。




「手作りだよ。・・・・・・でもレンくん、他の人のチョコ全部断ったって・・・・・・」





「うん。もちろん。君以外からはもらわないって決めたんだ」



こく、と頷いたレンくんに嬉しいやら申し訳ないやらで私は返事に困り、そして小さな声で返した。




「・・・・・・あり、がと」



「お礼なんて・・・・・・恋人を不安にさせないのもオレの役目だよ」





とろけるような笑顔でそう答えたレンくんが余計に恥ずかしくて嬉しい。


熱くなった胸を照れくささから隠す様にして私はもう一つの包みを取り出した。





「あと、こっちは・・・・・・ハッピーバースデー、レンくん」




「・・・・・・うん。ありがとう」




本当に嬉しそうに笑ってくれたレンくんが包みを開け終るのを隣に座って待つ。





「チョコ、美味しそうだ。トリュフかい?」



「うん、味は食べてからのお楽しみ!」



レンくんはひょいと一粒口に放り込んで頬を緩めた。




「美味しい。紅茶のトリュフだね」




「うん! 好きかな、って」



「ありがとう。こっちも開けていい?」



「どうぞどうぞ」



そんな風に促しながら、もう少しちゃんとレンくんの誕生日を祝いたかったな、と自己反省する。
卒業オーディションやらなんやらで忙しすぎて、サプライズとかそういったものが全くできなかった。まぁバイトをしてたっていうのもあるんだけど……。
自分の心の中で「来年こそは」と気合を込める。




「これは・・・・・・」




「あの、あのね! 私、実は最近バイトをしててね。それでそのぅ、レンくんと一緒にいる時間が少なくなってしまってたって言うのもあるんだけど……どうしてもレンくんの誕生日は自分のお金でお祝いしたくって・・・・・・」




そして選んでいる中見つけた「それ」。






「・・・・・・ペアリングなんだけど……嫌?」





常に私の愛情を確認して、愛を囁いてくれるレンくん。

でもそれは、寂しさや怖さの裏返しなんじゃないかなって思うことが、ままある。



私だってレンくんが好きで、ずっと一緒にいたいと思ってて、大切にしたいと思ってて。




そんな気持ちを込めて、私から贈ろうと思った。




本当にシンプルなデザインだけど。





「嫌だなんて・・・・・・」




それだけを呟いて、レンくんはぐっと口を閉ざした。

そしてすり寄るように私の肩口に頭を擦りつけ、そっと私を抱き締めた。








「・・・・・・名無しさん。名無しさん、好きだよ・・・・・・愛してる・・・・・・誕生日プレゼントでこんなに嬉しかった贈り物は・・・・・・これが初めてだ」




「・・・・・・喜んでもらえてよかったぁ……」



ほっと胸をなで下ろしてレンくんをぎゅっと抱きしめる。






「レンくん、レンくんが生まれてきてくれてよかった。出会えてよかった。奇跡にほんとに感謝したいよ・・・・・・レンくんのお父さんとお母さんにもレンくんをこの世に生み出してくれてありがとうって言いたい」




大きい方のリングを台座から外してレンくんの指に嵌める。



嵌めた指にキスをして、私は笑ってレンくんを見上げた。




「こうやって、毎年誕生日をお祝いさせてね。・・・・・・好きだよ、レンくん。愛してます」




(ハッピーバースデー!)

2013/2/18

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