うたプリlong夢

□あなたのために
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「初詣に行きたいのっ」



「だ・め・だ」



一言ずつ区切って語気強く却下を出したレンくんに私はぷうっと頬をふくらませた。









「レンくんのいけずっ」




「いけずで結構。名無しさんはもう少し自覚するといいよ。わかっているのかい? 君は妊婦なんだよ」


断固拒否といった声でおせちやお雑煮を用意してくれるレンくんの手際の良さを腹立たしい思うとともに眺める。



なんとか初詣に行けないかな?




「なんて言われてもダメだからね。人が多いし、外は寒いんだ。段差もあるし、君とお腹の子に何かあったらオレは生きていけないんだから」



真剣な目で見られて少し怯む。


でもでもでも私だって譲れない部分があるんだから!






「だって二人で行く初詣最後だし…来年から一人増えるのは嬉しいけど、最後に行っておきたいのにー」




口を尖らせてそっぽを向くと、お腹にあてた手をそっと握られた。


温かなその温もりを見ると、レンくんが私の足下に膝をついて手を握ってくれていた。


痛いくらいに真剣だった目が、仕方ないなといった感じに和む。




――――あ…。



その顔・・・・・・反則だよ。


すごく、好きな顔・・・・・・。






「名無しさんの気持ちは嬉しいし、叶えられるなら叶えてあげたいけど・・・・・・時期を外そう。三が日を過ぎてからなら人も少ないしね」


「う、ん…」



言われてみれば初詣だからって頑固に三が日に行く必要はないわけで。


もっともな指摘に頬が熱くなった。



でもレンくんは呆れた顔もせず、握った私の手をとんとんと優しく叩く。


「たださ、お腹の中にいるこの子は何十年か経ったら大人になって家を出て行くだろう? その時、おじいちゃんになったオレと、おばあちゃんになった名無しさんが二人肩を並べて初詣に行くはずだよ。だから、最後じゃないさ」





重ねて言われたその言葉に、何十年たっても一緒にいるのだと当たり前に言われたことに胸が熱くなった。





「……っ」



「だろ?」




見上げたそのレンくんを抱き締めて、私は小さく呟いた。




「・・・・・・かわいいおばあちゃんに、なるからね」




「・・・・・・はは。名無しさんなら問題ないよ。絶対にかわいいおばあちゃんになるさ」



どんな断定だろう、と少し吹き出しながらそんな風に言ってくれるレンくんの優しさを愛しく思った。




「喧嘩もしちゃうけど、今年もよろしくね」




「もちろんさ。オレこそ、今年もよろしく」





(あけましておめでとう)

2013/01/01
 

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