うたプリlong夢

□逢えない時間で想いを育て
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「うー、寒い寒いよー」


寒さに凍えた指先をこしこし擦っていると隣から呆れた声が聞こえた。



「それだけ着込んでいても寒いんですか?」


「・・・・・・寒いものは寒いもん」


ぷくんと頬を膨らませて隣に立つ恋人を見上げる。

確かに・・・・・・Pコートにマフラーを巻いているトキヤよりもロングのダウンコートにマフラーを巻いている私の方が見た目も中身も断然温かそうだ。



「だって指先寒いんだもん」


「だもんじゃありませんよ。あなたは本当に私よりも年上なんですか?」


「年上って言っても一年だけだしー」


嫌なところを指摘したトキヤを無視して私は指先にはぁっと息を吹きかけた。


そんなに温かくならない。



「仕方ありませんね」




再び呆れた声。


トキヤをそろりと見上げると、手のかかる子供を見るような目をして笑って、自分の手袋を取り外した。



「ほら、温めてあげますよ」







ふわりと包まれた両手。





見た目には体温が低そうに見えるトキヤの手は、直前まで手袋をつけていたおかげか、ひどく温かかった。





「あったかー・・・・・・」




こういう時、優しすぎて泣きたくなるんだ。


嬉しくて、気恥ずかしくて、大切にされていると嫌でも感じて。


好きだと、思って。





「でもこれじゃ歩けないね」




「ですね。ではこうしましょうか」




トキヤが片方の手に手袋をはめて、もう片方の手袋を私に差し出した。





「どうぞ」




「? 左手?」



「ええ。右手は、ほら」




大きいなぁ、ぶかぶかだなぁ、でもあったかいぞ。



そう思いながら手袋をはめ終わると、右手をトキヤの左手にさらっていかれた。




「!」




「温かいでしょう?」




トキヤがどこか得意げにそう言って私を見下ろした。




「へへ・・・・・・えへへー」




嬉しくて気恥ずかしくて大切にされてるとものすごく感じて。



私は照れながらトキヤに寄り添った。



つないだ手は、少し乾いていてものすごく温かかった。






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