うたプリlong夢
□あなたのために(番外編)
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「はぁ、もうめっきり冬だねぇ」
冷気にかじかんだ手に息を吹きかけながら隣に立つレンくんに話しかける。
想いの通じたあの夏からもう何か月経ったんだろう?
なんとなく感慨深くてしんみりした気分でいると、ふわりと首元に何かがかけられた。
「ずいぶん寒くなったね。そろそろクリスマスだ」
「れ、レンくん! これレンくんの!」
自分の首にかけられたものがレンくんのマフラーだと知って、私は慌ててそれを外そうとした。
だってマフラーを取ったレンくんの首元すごく寒そうだし!
でも外そうとした手をレンくんの手に絡め取られる。
―――う、わ……っ。
「オレのだよ。そのままつけてて。今日、ほんとに寒いから風邪ひいたら大変だろ?」
にこ、と微笑まれても私はぶんぶん首を横に振った。
「寒いからレンくんも防寒しなきゃ! 喉やられちゃったら大変だよ?」
「ん。じゃあこのまま手を繋がせて」
恋人繋ぎした手を私の視線の高さまで上げられて、顔がほんのりと熱を持つ。
こういった何気ないスキンシップがすごく嬉しい。
「・・・・・・レンくんってば優しいんだから」
「君限定でね。ああ、でも……君限定ですごくいじわるにもなれるけど」
「……っ」
くすりと笑みを含んだ声が耳元で囁きかける。
その言葉の意味を・・・・・・正確にくみ取って私は顔が真っ赤になるのを感じつつ唇をとがらせた。
反論しても反論で返されるのが分かってるから何も言わないけど。
「・・・・・・寒い日に、二人で温めあえるって、なんだか素敵じゃないか?」
(冬の一幕)
何気ない日常こそがひどく愛おしい。
2012/8/25